良い眼鏡を買った
ayameというブランドのBOSTONというモデルを買いました。
きっかけ
視力が悪いことには気付いていた。
ちょうど5年前にZoff Smartを購入して半年ほど掛けていたのだが、理由無き裸眼プライドが邪魔し、ずっと家の隅に置きっぱなしだった。
だけど今年に入ってからやっぱり視力が悪い気がしてきて久々に掛けてみたんだよ。
ウーーーン、眼鏡を掛けるとなんだかよく見えるナァ
と思ったのも束の間、なんだか微妙に見づらい気がするのだ。
たしか、初めての眼鏡だったから1段階落とした度数で作られたんだよ。
その時知ったんだが、僕は超が付くほどの強度乱視らしい。で、いきなり度数がピッタリのレンズだと視界が歪みすぎて大変とのことだった。
しかしながら、たった1段階弱いだけででこんなに見づらい訳がない。
そうなのだ、僕は視力が悪くなっているのだ。
きっと家の中だけでなく外でも掛けるべきレベルで悪いのだ。
このZoff Smartのレンズを交換する案もあったが、ぱっと見で分かるほどフレームがチープすぎる。しかも鼻パッドがシリコン製なので経年劣化で黄ばんでいる。これじゃ外には出られん。
眼鏡が嫌ならコンタクトだろ、と言ってくる諸兄らもいるだろう。おれの乱視を甘く見るな。おれの乱視度数までカバーするコンタクトレンズはこの世に無いらしい。おれの乱視を甘く見るな。
というわけで外に堂々と掛けていける眼鏡探しが始まった。
下調べ
これは下調べの後に思い至ったことだが 眼鏡選び = 店選び なのだ。
いい感じのフレームを取り扱い、なおかつ目的のレンズを取り扱っている店を探さなければならない。
僕の眼鏡探しはまずレンズ探しから始まった。
というのも、今持っているZoff Smartのレンズはセット料金に含まれるしょぼいやつ。JINSと違いZoffのセットレンズは球面レンズ。店員からは、あまりにもヒドい度数だったからか単なるセールストークだったかは分からんが、非球面レンズを勧められた記憶がある。ただ当時の僕は新卒N日目。金が無い。背に腹は代えられなかった。確かにこのレンズは視界が大きく歪む。おそらくこれもあって掛けなくなったんだろうな。
良いレンズじゃないとおれの乱視は救えないのである。おれの乱視を甘く見るな。
そしてフレーム。
やっぱり高いフレームはイイ! よく分からんが立体感とかプラスチックのツヤとかが違う気がする。安物と並べたら誰でも判別できると思う。こんなん欲しくなるやんけ。
ただメタルフレームに関しては正直見た目の違い分からん。が、高いのはちゃんとβチタン使ってるわ。そういうとこやろな。
ブランドで言えば、今回買ったayame以外にもYELLOWS PLUSやYUICHI TOYAMAが好感触。どれも世界でウケてる日本ブランドらしい。あとは海外のブランドもいくつか気になったものがあったが忘れた。
さて、上で書いた通り店を決めなければいけない。エンジニアらしく要件を整理した。
要件
レンズ
両面非球面
乱視向けのレンズにおいて重要なファクターは非球面設計らしい。
一般的に非球面レンズと言われるのはレンズの片面が非球面、もう片方が球面になっているレンズのこと。対して両面非球面はその名の通りの設計である。非球面だとレンズカーブが緩やかなため視界の歪みも小さい。それが両面だとその効能も大きいらしい。
そして乱視のレンズはどうしても歪む。この歪みを両面非球面で相殺するわけだ。
さらに外見上も目が小さく見えないらしい。
これは絶対条件とした。ちな高い。
薄すぎないこと(屈折率 1.60 or 1.67程度)
レンズは薄い方が良いものだと思っていたが一概にそうではないらしい。
レンズが薄くなる = 屈折率が高くなるほど色収差が大きくなり滲みやすいとのこと。また、薄さに反して重くもなるらしい。
じゃあ分厚いやつでもええやん、とも思ったが度数やフレームなどを鑑みて最適な薄さがあるらしい。
よく分からなくなってきたので、薄すぎるレンズは極力避けるが、最終的には店員のアドバイスに従って決めようと思う。
メーカーはNikon
どうせこだわるならメーカーまでこだわることにした。しかしどのレンズメーカーが良いのだろうか。レンズメーカーを比較する情報がないか調べてみたがなかなか見つからない。メガネレンズ版DxOMarkみたいなベンチマークサイトがあっても良いんだと思うんだけど。
唯一見つけたのが、opteria-Glassiasという眼鏡店が遠近両用レンズを比較検証したもの。
これによるとNikonがダントツだった。遠近両用レンズが良いなら単焦点レンズも良いだろう理論でNikonを選ぶことにした。
それに僕はかつてカメラはNikon派だった。Nikonのカメラレンズには良い印象を持っていたし、DxOMarkのベンチマークでもNikonの上位率は高い。Nikonにするしかない。
カメラレンズと言えばあのCarl Zeissもメガネレンズ出してるんだな。レンズ表面に「Z」の刻印があるらしい。ダセーーって思うのは僕だけでしょうか。眼鏡魔神界隈では憧れの的でもあるらしい。よく分からんけど田舎におけるプーマのジャージみたいなもんだと思う。
コーティング
防キズ、防汚といった、寿命とメンテナンスコストに直結するものは必ず付ける。
ブルーライトカットは絶対に付けない。科学的根拠無し、PC・スマホにはナイトモードがある、見た目もダサい。付ける理由がない。
フレーム
セルロイド以外の素材であること
セルロイドはアルコールにめっぽう弱い素材らしい。アルコールにさらされ続けると白くくすむとのこと。どこへ行けどもアルコールが置いてあるこのご時世には極めて適さない素材と言える。
セルロイドは他のプラスチックフレームに比べて深い艶があるだとかウンタラカンタラらしいが、我々素人にはそんなん分からんて。
というわけでセルロイド以外のプラスチック素材(ほぼアセテート)、あるいはメタル素材を選ぶこととする。
形や色は知らん
こればかりは掛けてみないと分からない。
選定
金子眼鏡店
我々パンピーがまず思い浮かべるザ・高級眼鏡店。
メインのラインナップはセルロイド製だったので即ボツ。
レンズはNikonとCarl Zeiss。意外と安め。
白山眼鏡店
かのジョン・レノンが愛用していたらしい。
レンズはNikonとSEIKO。
ただデザインが好きじゃない。
999.9
ザ・業務用感があって好みじゃない。
レンズはOEMのオリジナルで両面非球面が無い模様。
ただ999.9のレンズは評判良いらしい。両面非球面じゃなくてもいい説が出てきた。もう分からんなこれ。
眼鏡市場 / パリミキ あたりのチェーン
プライベートブランドが大半を占める。ダサい。良いブランドの眼鏡ばかり見すぎて目が肥えてしまった。
両面非球面レンズを取り扱っていないところもあるらしい。
JINS / Zoff
買わない気持ちを確固たるものとするため、今一度要件と照らし合わせてみる。
JINS: 両面非球面レンズの取り扱い無し。
Zoff: 両面非球面レンズは取り扱っているが、屈折率1.76のみ(おそらく東海光学製)。
セレクトショップ
と一口に言っても都内にセレクトショップは山ほどある。
しかし困ったことに、どこの店もレンズの情報を公開していない。察するに、互いに非公開にし合うことで価格競争を避けて利益を上げる寸法だろう。逆カルテルとでも言おうか。まぁ稼ぎの柱がレンズなのだろう。牛丼屋が牛丼ではなくトッピングで稼いでるのと一緒。知らんけど。
さて、上で取り決めたNikon縛りのために調査をすることになった。口コミやらブログやらを漁って地道に取扱レンズメーカーを特定していく作業が続いた。ここまでしてNikonにこだわる必要性はあったのだろうか。もう僕にも分からない。
なおかつ気に入ったフレームブランドを取り扱っていなければならない。それも、好みのブランドをより多く取り扱っている方がコンバージョン率を上げられる。
苦労の末、レンズとフレーム両方の条件がマッチしているセレクトショップを複数見つけ出した。
結果的には、さらにその中から評判の良さそうな丸の内のセレクトショップに決めた。
いざ購入
ええっ!? 眼鏡にサイズがあるんですか?
皆さん知ってましたか? 眼鏡フレームにはちゃんとサイズがあるんですって。
ツルに印字してある「44□24」みたいなのがサイズだ。これは「レンズ幅
□ブリッジ幅
」を表していて、両端の数値を足した値がPD値(瞳孔間距離)となる。フレームのPD値が己のPD値とマッチしていると、ちょうどレンズの中央に瞳孔が位置してジェストサイズというわけだ。つまり自分に合ったPD値を持つフレームの中から選び出す必要性があるのだ。これを知らずしてネットでいろんなモデルを見てたぼくは馬鹿でした;;
フレームを選ぶ
数々の実物を眺めているとブランドとかどうでも良くなった。というか良いブランドのものしか無いし特段こだわる必要も無かったのだ。とは言いつつも、トーナメント形式で選んだ結果、当初から気に入っていたayameのフレームに決定した。それでも先入観無しで選んだ結果である。
検眼
10項目くらいの検査をやったと思う。ささっと終わったZoffとは大違いだ。
結果を見てびっくらこいた。旧レンズの度数より6段階重い乱視ですた。こりゃあ合わないわ。僕の視力が悪くなったのかZoffの検眼が悪かったのか、今ではもう分からない。
近視度数はなんと0.00。僕はオーガニック乱視なのだ。おれの乱視を甘く見るな。
レンズを選ぶ
調査通りNikonのレンズを取り扱っていた。確信度は80%くらいだったので一安心しつつ、丸の内価格にビビる。丸の内はこわい街だ。椎名林檎もビビるわけだ。腹は括っていたので両面非球面、屈折率は店員の勧め通り1.67。狙い通りだ。
型番はLite4 DAS。家に帰ってからこの公式サイトを見て落胆した。Nikonレンズの取り扱い店舗を検索できることを知ってしまったからである。そんなものがあるなら先に言っといてくれや。あの血の滲む調査は何だったのだろうか。きっと何でも無かったのだろう。
コーティングはスーパーハードコートと説明されたものを付けた。防キズ・防汚コーティングのようだ。
レンズは特注となり2週間後に受け取りとなった。
余談だが、自分の顔面を3Dスキャンして自分専用のレンズを作ることもできるそう。お察しの通り値段は目玉が飛び出るほど。ただ、丸の内という土地柄なので買う人がそこそこいるらしい。丸の内がそんなに偉いのか。こっちは赤羽やぞ。
なんだかんだで結構な価格になったが想定内に収まった。
受け取り
ちょうど2週間後に受け取りに行った。
まずはフィッティング。
ちゃんとしたプラスチック素材のフレームは熱で自由自在に曲げることができ、頭の形にフィットさせることができる。正面から見たときの横幅まで調整できるらしい。なるほどこの技術料も含んでるのか。一方で安い眼鏡は、ツルのお尻のゴムっぽいところを曲げるしかできないのでジャストフィットは難しいらしい。
そして肝心のレンズはバッチリ度が合っている。歪みは完全に無いわけではないが、確かに旧レンズと比べたら確実に小さい。不快感も少ない。
この記事冒頭の画像を見てもらえば、歪みが極めて小さいことが伝わるだろう。
ayameの付属ケースは本革だった。なんだか得した気分。折り畳むこともできる。
オタク心が働いて調べてみたが、パールという会社のOEMで間違いないだろう。ただしパールが直に売ってる方は合皮。
総じていい感じだ。買って良かった。大満足。
後日談
この眼鏡を受け取ってから3日後、JINSで安い眼鏡を買いました。
高い眼鏡でゴロゴロ~ゴロゴロ~するのは貧乏性の僕には無理ですた;;
買ったのはAirframeのヒンジレス。ツルがグニャグニャで横になってもズレない。めちゃくちゃ軽いので楽。
レンズはセットレンズのまま。度数はayameと同じ。片面非球面、屈折率1.60、メーカーはHOLT(HOYAのグループ会社)。高いレンズと比べると、なるほど歪みが大きいのがよく分かる。屈折率はこちらの方が小さいのに滲みもある。
良い眼鏡を買って良かったと改めて実感した。ただ家用ならJINSで十分だな、とも思った。
まぁこれはこれで満足。